sifp-std-client_nrf9160 v0.3.0/v0.3.1をリリースしました

現在βテスト中のさくらのモノプラットフォーム向け評価ボードのファームウェアと対応するサンプルプログラムをリリースしました。

評価ボード向けファームウェア

SCO-M5SNRF9160/SCM-LTEM1NRF向け標準ファームウェアsipf-std-client_nrf9160

バージョン: v0.3.0(v0.3.0_211119.113155)
  • $$TXコマンドで複数のOBJECTを送信できるように拡張
  • $$UPDATEコマンドでバージョン指定して更新できるように拡張
バージョン: v0.3.1(v0.3.1_211119.114714)
  • $$RXコマンドの応答に含まれる OBJECT のパラメータ順が$$TXのパラーメータ順と異なっていたので修正

サンプルプログラム

M5Stack対応LTEモジュール cat.M1 nRF9160向けサンプルスケッチ – sipf-std-client sample for M5Stack

バージョン: 211119
  • sipf-std-client_nrf9160 v0.3.1 の$$RXコマンド応答の変更に対応

sipf-std-client_nrf9160のバージョンを取得し$$RXコマンド応答の扱いを切り替えます。
そのため、v0.2.0、v0.3.0、v0.3.1のいずれのバージョンとの組み合わせでも動作します。

v0.3.0以降の$$TXコマンドの複数オブジェクト送信をお試し頂く場合は、Arduino IDEのシリアルモニタ等で直接$$TXコマンドを送信してください。

DIP型LTEモジュール基板 cat.M1 nRF9160向けNucleo F411REサンプルプログラム – sipf-std-client_sample_nucleo

バージョン: 211119
  • sipf-std-client_nrf9160 v0.3.1 の$$RXコマンド応答の変更に対応

sipf-std-client_nrf9160のバージョンを取得し$$RXコマンド応答の扱いを切り替えます。
そのため、v0.2.0、v0.3.0、v0.3.1のいずれのバージョンとの組み合わせでも動作します。

v0.3.0以降の$$TXコマンドの複数オブジェクト送信をお試し頂く場合は、NucleoのUSBシリアルに接続したターミナルソフト(Teraterm等)で直接$$TXコマンドを送信してください。

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デバイスにおける構成部品のEOLの内容とその対応

概要

一般的に、市場に存在する通信モジュールを始めとしたハードウェアにおいても、ソフトウェア同様バージョンやバージョンに対するEOL(End of Life:保守やサポートの終了)が存在します。
現在βテスト期間中のIoTプラットフォームサービスさくらのモノプラットフォームでサンプルとして無償配布中のLTEモジュール(SCO-M5SNRF9160およびSCM-LTEM1NRF)に搭載しているNordic社nRF9160にも複数のバージョンが存在します。

この度、Nordic社より該当のモジュールに含まれる部品のPDN、つまり製造中止製品の通知を受け取りました。
通常はPDN以前に後継となるハードウェアがリリースされた際にはPCNという代替品の通知がなされ、今回も事前にPCNを受けてさくらインターネットでも情報収集と対応を進めていました。
今回はこれらの通知を参考に、ハードウェアにおけるバージョン間にはどのような変更が含まれるのか、それによってIoTデバイスの開発側にはどのような影響があるのかをご説明したいと思います。
文書やWebサイト間でバージョン表記に揺れがあるため、本記事においては以下の表記に関してはそれぞれB0,B1という表記で行います。

nRF9160-SIXA / nRF9160-SIXA-B0A / Gen1 / Revision1 → B0
nRF9160-SIXA-B1A / Gen2 / Revision2 → B1

配布中のLTEモジュールに搭載されているnRF9160はB0となります。
なお今回の結論として、さくらインターネットではB0の保守終了(EOL)を受けて、今後LTEモジュールが必要になる場合はB1を採用する前提で検証および設計変更を行うことにしました。
※本記事公開時点ではB1を使ったサンプルは再設計中であり、B1に差し替えた情報公開をお約束するものではありません。

 

通知文書とその読み方

製品の変更に関する通知

今回、2020年3月および2020年7月の時点でNordic社からIN,PCNという2つの書面が公開されていました。
各社によって書面の名目は「PCN」「製品変更通知」「製品変更のお知らせ」など様々ですが、一般的には以下のような内容を製品の利用者に通知するものになっています。
一般的に、デバイスメーカーにおいてはこれらの通知を受け取るとまず対象の部品について案内される後継製品を選択して再設計を最小限に留めるか、はたまた再設計を前提に他社の類似製品に置き換えるかを検討します。

IN(Informational Notice:情報の通知)
IN145 Informational Notice v1.0

INは代替品の刻印情報を通知するものです。
この内容からいわゆる技適である工事設計認証と技術基準適合認定の番号が変更されていることがわかります。

InformationalNotice

PCN(Product Change Notification:製品変更の通知)
PCN134 Product Change Notification v1.0.1

PCNはEOL対象製品と代替品の間の変更内容を通知する文書です。
代替品との具体的な変更点と、変更が組み込まれた製品に与える影響が記載されています。
変更点としては消費電力が改善されたこと、新しい地域の認証を示すマーキングが追加されたことがわかります。
また、物理的な寸法やピン配置を示すFitを除き、刻印内容を示すForm、消費電力等の機能を示すFunction、信頼性を示すQuality or Reliabilityといった項目で変更があることが冒頭に記載されています。

ProductChangeNotification

さらに別ページには変更の根拠となるより詳細な情報が記載されています。

製品の提供終了に関する通知

いつまでも供給され続ける部品はごく一部であり、多くの部品は後継製品の有無によらずいつかは提供が終了されます。
今回、2021年10月の時点でNordicからLTEモジュールの提供終了がPDNという書面で通知されました。
一般的に、デバイスメーカーにおいてはPDNを受け取ると将来的な需要や生産計画を鑑み、最終的な発注数や時期を調整します。

PDN (Product Discontinuance Notification:製造中止製品の通知)
PDN037 Product Discontinuance Notification for nRF9160-SIxA-B0A

PDNは製品のEOLを通知する文書です。
対象製品の供給を続けられなくなった理由や利用者に推奨する行動、代替品の案内やEOL対象製品の最終的な入手タイミングが記載されています。
最終注文受付日は2021年11月30日、最終出荷日は2022年10月21日であることがわかります。

ProductDiscontinuanceNotification

 

主な変更点と対応の洗い出し

さくらインターネットでは、上記に加えてメーカーのWebサイトに公開される情報も確認し、重要な変更点と必要な対応について洗い出しました。

型番の変更

nRF9160-SIAA → nRF9160-SIAA-B1A (cat.M1のみ対応)
nRF9160-SIBA → nRF9160-SIBA-B1A (NB-IoTのみ対応)
nRF9160-SICA → nRF9160-SICA-B1A (cat.M1/NB-IoT対応 +GNSS)
βテストで提供しているLTEモジュールはnRF9160-SICAであるため、代替品としてはnRF9160-SICA-B1Aを採用するのが妥当なようです。

工事設計認証番号と技術基準適合認定番号の変更

代替品になったことでこれらの番号が変更されていることがわかりました。
提供しているLTEモジュールでは外装を含まないためモデム刻印の表示だけで問題なければ特に変更はありませんが、もしデバイスの外装等に別途刻印やラベル貼付を行っている場合、それらの変更が発生しそうです。

R 005-102122 → R 005-102592
T D19-0085005 → T D20-0081005

対応アンテナリストの変更

NordicのWebサイトを確認すると、技適取得済みアンテナリストも変更となっていることがわかりました。
提供しているLTEモジュールでは特に変更は必要ありませんでしたが、もし自分たちが製品に採用しているアンテナが含まれていない場合は設計の変更に合わせて選定し直す必要がありそうです。
Nordic nRF9160 certifications

消費電力の低下

利用するバンドによって異なりますが、概ね省電力化していることがわかりました。
設計には影響しませんが、仮に屋外でバッテリ運用されるような製品に組み込まれているならば稼働時間の延長が期待できそうです。

コンデンサ推奨容量の変更

DECピンのコンデンサの推奨容量が47uFから4.7uFに減りました。
これに伴い再設計においてコンデンサも変更する必要がありそうです。

GNSSのみちびき対応

nRF9160-SICAでもGNSS搭載モデルを使用していますがnRF9160-SICA-B1Aではその中で高精度を実現するみちびきにも対応したことがわかりました。
ただし、後述するモデムファームウェアをより新しいものにアップデートする必要もあるため、ソフトウェア的な改修が必要になりそうです。

モデムファームウェア利用可能バージョンの変更

B0ではv1.2.3を使用していたのに対して、B1はv1.3.0以降を使用することになります。
大きな変更は無いと期待したいですが、仮に製品として提供する場合は十分な検証を行う必要がありそうです。

 

まとめ

このように、デバイスの提供を行ううえで構成部品のEOLはつきものです。
影響が小さな部品であれば設計内容はそのままに部品の差し替えだけで済むケースもありますが、特にリッチな処理を行うデバイスにおいてはEOLが大きな設計変更に繋がることもあります。
また、デバイスは提供後の問題発生の対処が難しくリコール等重大なリスクに繋がるケースもあるため、Webサービスとは違ったレベルでの対応が求められます。
実際にデバイスの再設計を行う際には自社のデバイスに求められる要件を定義したうえで対応を検討してください。

この情報がIoTサービスを作る皆様の参考になれば幸いです。

また、さくらのモノプラットフォームではβテスト参加者を継続して募集しています!
今年10月にはリリースから複数機能を追加したβ2を公開するなど、正式サービス化に向けて積極的に機能拡充を行っています。
IoTを「事業のはじめやすさ」を担保しつつ「事業スケール後の取り回しの良さ」も持ったサービスで構成したい!というニーズがある方はぜひ以下URLよりお申し込みいただき、より便利なサービスにすべくフィードバックをいただければ幸いです。
さくらのモノプラットフォームβテスト無料申し込みフォーム



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さくらのモノプラットフォームβ2をリリースしました

現在クローズドβテスト中のさくらのモノプラットフォームのβ2をリリースしました。
7月のβ1で対応していたデバイスからクラウドへのアップリンク(上り)方向の対応に加え、β2ではクラウドからデバイスへのダウンリンク方向(下り)方向の通信にも対応しました。

β2の変更点

  • ダウンリンク(下り)方向の通信に対応しました
  • さくらのクラウドコントロールパネルから『プロジェクト』、『サービスアダプタ』が作成できるようになりました

上記の変更に対応した評価ボードのファームウェアとサンプルプログラムを公開しました。
βテスト時点では正式サービス提供に向けて大幅な改修を行う場合がありますが、事前にこのサービスによってどのようなことが実現できるかを検証いただくことができます。

さくらのモノプラットフォームについて

sakura.ioセキュアモバイルコネクトに続く3つ目のサービスとして現在開発中のサービスです。

さくらのモノプラットフォームは『IoTシステム開発に必要な道具箱』として、必要なモノを組み合わせて開発/利用できるプラットフォームを目指しています。
第一弾としてsakura.ioのようなメッセージベースの通信を行う『道具』を『道具箱』に入れてみました。
また、評価していただくための評価ボード、ファームウェア/サンプルプログラム(オープンソース:MITライセンス)を提供中です。
クローズドβテストに申し込みいただいたテスター様からこの『道具』がもっとこうなら使いやすいのに等のフィードバックを頂きつつ開発を続けています。

現在βテスターとして、開発に参加してみたい方を募集中です。
ご興味がありましたらぜひこちらのフォームからエントリーしていただければと思います。

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