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さくらのIoT

この記事は過去に公開した内容を編集して掲載しています。さくらインターネットは2017年に登録電気通信事業者の手続きを完了しました。本記事は電気通信事業者とは何か、登録すると何ができるか、どのようにして登録を受けるのか、また登録になるまでの道のりなどを当社の実体験を基にご紹介します。尚、引用した法令その他の情報は、本記事公開時点のものです。

電気通信事業者とは?

電気通信事業者とは、電気通信設備を用いて他人の通信を媒介し、その他電気通信設備を他人の通信の用に供する事業を営むことについて、総務大臣から登録を受け又は届出を行った者をいいます。たとえば、固定・携帯電話回線、電子メール、インターネット接続サービス等を提供する事業者がこれに当たります。身近な例ですと、私たちが普段利用しているスマートフォンなどの携帯電話回線を提供している事業者や、NTT、KDDI、ソフトバンクなどの固定電話または、自宅のインターネット回線を提供している事業者等が電気通信事業者に当たります。電気通信事業者のうち、登録を受けている事業者は伝送路設備等の電気通信回線設備を、自ら設置している事業者です。

電気通信とは?

電気通信とは、有線、無線その他の電磁的方式により、符号、音響又は影像を送り、伝え、又は受けることです。固定電話、スマホ、パソコンなどを利用して行う情報伝達のことで、高度情報化社会である現代では、私たちが日常的に利用する社会インフラです。

届出電気通信事業と登録電気通信事業の違い

電気通信事業者に該当する場合は、登録・届出なしに電気通信役務を行うことはできません。電気通信事業法とよばれる法律に従って、総務省に対して「提供する電気通信役務の種類を届出または登録しなければならない場合」があり、その提供する事業やサービスの内容によって「届出電気通信事業者」か「登録電気通信事業者」のどちらかに分類されます。 届出電気通信事業者は比較的ライトな分類で、個人や任意団体でも申請が可能です。一方で登録電気通信事業者は、電気通信の健全な発展の観点からの適切性、経理的基礎、体制の整備等、様々な書類の提出と審査を経て電気通信業務を提供することになります。

電気通信事業参入マニュアル[追補版](総務省)

総務省が電気通信事業法の用語や適用を判断するための考え方をまとめたものとして、何が電気通信事業に該当する・しないのかをYES-NOのフローチャートで解説した資料が公開されています。大方の場合はこのマニュアルに従って電気通信事業者に該当するか否かを判断することが出来るでしょう。

届出電気通信事業者・登録電気通信事業者の共通する要素

電気通信回線設備とは電柱や地下に敷設されている光ファイバケーブル・ケーブルテレビ局の同軸ケーブル・電話線や携帯電話で利用される基地局の無線を指し、主にNTTやKDDI・ケーブルテレビ局などがこの電気通信事業者の登録を受けて事業を行っています。全国の登録になった電気通信事業者一覧は、総務省により公開されています。また、電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック(総務省)を参考に要約すると、以下の3要素は届出、登録ともに共通する要素です。

  1. 電気通信の役務を提供する
  2. 事業性を有し、反復継続的に提供する意志があり一時的に提供するものではない
  3. サービス提供により利益を得る
    (ここで利益とは金銭の授受だけに限らず、サービス提供の対価として広告を打ってもらうことや、
    相互にサービスを使わせ合うなど融通する行為も利益を得ると見なされます)

電気通信事業の例

電気通信事業の例は次の分類が挙げられます。加入電話、中継電話、国際電話、公衆電話、FAX、電報、携帯電話、PHS、データ伝送(フレームリレー・ATM 交換等)、IP 電話、ISP、FTTH、DSL、CATV、FWA、BWA、ローカル5G、公衆無線 LAN、広域イーサネット、IP-VPN、専用役務、アンライセンス LPWA、インターネット関連サービス(電子メール、IX 等)等です。電気通信事業に当てはまる例を具体的なサービスでピックアップしてみましたのでご覧ください。

当てはまる例 内容
オフィスやマンションの管理会社が入居者に提供するインターネット オフィスやマンションの管理会社や賃貸事業者等が、入居者に対して、電気通信役務の料金設定を行うなど、自らが提供主体となって、インターネットサービスを提供
インターネットカフェ ISP等から電気通信役務提供を受け、店舗内にインターネット端末PCのみを設置して、利用者のインターネット利用を一時的に可能にする
クローズドチャット、
オンライン会議
サイト上にチャットルームを開設することやサイト内で音声通話をすることにより、特定の利用者の間のみに閉じた会話等を媒介するサービス
電話転送 特定の電話番号に予め登録された電話番号に自動転送するサービス
電話等受付、
自動代行サービス
電気通信設備(サーバ等)により人手を介することなく、サービス利用者あての電話やFAX等を受け、当該電話やFAX等の情報の内容を変更することなく、フォーマット変更やメディア変換を行い、利用者に伝達する
公衆無線LAN アクセスポイント等を設置し、又は他者のアクセスポイントを利用して、有料の公衆無線LANサービスを提供
IoTサービス
  • 通話機能付きドアベル、見守りカメラ等サーバ及びソフトウェアを用いてIoT端末から受信するデータの蓄積、通信処理を行うIoTサービスのうち、その提供過程で、情報を加工・編集せず、かつ、送信時の宛先に受信者を指定する
  • 物品位置管理 、混雑状況検知システム等サーバ及びソフトウェアを用いてIoT端末から受信するデータの蓄積、通信処理等を行うIoTサービスのうち、その提供過程で、情報を加工・編集し、又は、送信時の宛先に受信者を指定しないもの。ただし、上記のIoTサービスの提供にあわせて、他の電気通信事業者から「他人の通信を媒介する電気通信役務(SIM等回線)」の提供を受け、提供条件や価格を変更するなどして再販する場合
MVNO 既存の移動電気通信事業者のネットワークインフラを利用して、利用者に独自の移動通信サービスを提供
FVNO 既存の固定電気通信事業者のネットワークインフラを利用して、利用者に独自の固定通信サービスを提供
コンテンツの媒介 企業等からインターネット等を経由して提供されたコンテンツについて、その内容の変更を行うことなく、特定の受信者にインターネット 等経由で送信(CDN含む)
関連企業ネットワークの運営 関連企業間を結ぶネットワークを構築して業務に係るための通信を行う
SNS サービスの内容により届け出が必要

出典:電気通信事業参入マニュアル[追補版](主な事例と考え方)

通信事業者とは?

通信事業者とは、主に郵便や固定電話や携帯電話などの通信サービスを提供する事業者のことです。IT(情報技術)の通信では、パソコンや携帯電話(スマートフォン)を活用した通信が中心であり、インターネットなどの回線や携帯電話網、光ファイバーやCATV(ケーブルテレビ)の通信網を利用し、通信サービスを提供しています。通信事業者は、実際に設備を保有している移動体通信事業者(MNO)と固定通信事業者(FNO)、または以下に説明しているように設備を借り受けて事業を展開している、仮想移動体通信事業者(MVNO)と仮想固定通信事業者(FVNO)に分けられます。

仮想移動体通信事業者(MVNO)と仮想固定通信事業者(FVNO)

仮想移動体通信事業者(Mobile Virtual Network Operator(MVMO))とは、携帯電話やPHSなどの物理的なネットワーク網を自社では所有せずに、実際に所有する移動体通信事業者から借りて自社で移動体通信サービスを行う事業者のことです。日本では携帯電話の通信設備を所有する事業者をキャリアとも呼ばれ、このキャリアの設備を借りて通信サービスを提供している事業者を示します。プラン名の例では「UQモバイル」「ahamo」「povo」「LINEMO」などが挙げられます。
仮想固定通信事業者(Fixed Virtual Network Operator(FVNO))とは、自宅の固定電話などの通信回線を提供する事業者のことです。自社で回線網を持ち合わせていない会社であっても、FVNOとして回線網や設備をNTT社などから借り受け、インターネット接続サービスなどを独自ブランドとして各利用者に提供する事が出来ます。プラン名の例では「ドコモ光」「auひかり」「ソフトバンク光」などが挙げられます。回線網や設備を借り受けて、家庭用の光ファイバーを使った通信サービス(FTTH)などを、自社の運営している他のサービスと組み合わせるなどとして提供することを「光コラボレーションモデル」と呼びます。

電気通信事業法とは?

電気通信事業法とは、電気通信の健全な発達と国民の利便の確保を図るために制定されており、電気通信事業に関する詳細な規定が盛り込まれている法律のことです。第一章から第六章により構成されます。

電気通信事業法の構成

電気通信事業者の登録や届出に関する法律を抜粋し説明します。登録、届出に関する内容は第二章の第2節 - 事業の登録等(第9-第18条)の部分です。

内容
第1章:総則
  • 第1条 - 第5条
第2章:電気通信事業
  • 第1節 - 総則(第6条 - 第8条)
  • 第2節 - 事業の登録等(第9条 - 第18条)
  • 第3節 - 業務(第19条 - 第40条)
  • 第4節 - 電気通信設備
    • 第1款 - 電気通信事業の用に供する電気通信設備(第41条 - 第51条)
    • 第2款 - 端末設備の接続等(第52条 - 第73条)
  • 第5節 - 指定試験機関等
    • 第1款 - 指定試験機関(第74条 - 第85条)
    • 第2款 - 登録講習機関(第85条の2 - 第85条の15)
    • 第2款 - 登録認定機関(第86条 - 第103条)
    • 第3款 - 承認認定機関(第104条 - 第105条)
  • 第6節 - 基礎的電気通信役務支援機関(第106条 - 第116条)
第3章:土地の使用等
  • 第1節 - 事業の認定(第117条 - 第127条)
  • 第2節 - 土地の使用(第128条 - 第143条)
第4章:電気通信紛争処理委員会
  • 第1節 - 設置及び組織(第144条 - 第153条)
  • 第2節 - あつせん及び仲裁(第154条 - 第159条)
  • 第3節 - 諮問等(第160条 - 第162条)
第5章:雑則
  • 第163条 - 第176条
第6章:罰則
  • 第177条 - 第193条

参考:電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)

電気通信事業法の規定

電気通信事業法の規定では「第9条の登録を受けた者、及び第16条第一項の規定による届出をした者が該当します」と書かれています。登録電気通信事業者は、総務大臣の「登録」を受けなければならなく、届出電気通信事業者は総務省令で定めるところにより、必要事項を記載した書類を添えて、その旨を総務大臣に「届け出」なければならないとされています。

参考:電気通信事業参入マニュアル[追補版]ガイドブック

電気通信事業の登録

ここからは、さくらインターネットが登録電気通信事業者になった流れを基に説明をしていきます。当社の場合は近畿総合通信局の電気通信事業課に直接電話し、担当官に概要をお伝えするところから始まりました。事業としては間違いなく登録が必要だと言うことで、手続きに必要な書類一覧を教えていただきました。

電気通信事業者の最近の登録動向

最近はIoT業界でもLPWA(Low Power Wide Area)事業で活用されている事例があります。 SIGFOXやLoRa(WAN)、Wi-SUNなど電波法におけるアンライセンスバンドのサブGHz帯(920Hz帯)を利用した通信方式で、LTEや3Gの電波が届かないラストワンマイルのIoT向け通信環境に利用されています。※LPWA(「低消費電力で長距離の通信」ができる無線通信技術の総称のこと)

電気通信事業者の届出ではなく登録が必要となる場合

このLPWA機器を親機・子機のように利用し、事業者は親機(=アクセスポイント)を提供し、利用者が子機を購入してサービスエリアで利用するといった形式(ゲートウェイモデル)がとられます。この親機を事業として提供するということは、無線の伝送路、つまり電気通信回線を設置するということになり、その設置区域によっては届出ではなく登録を受けなければなりません。当社が登録を受けたのも、同じ理由です。ゲートウェイモデルでLPWAを提供する場合、親機は電気通信事業法上の「端末系伝送路設備」に分類されます。ここに書いている通り、電気通信回線を設置した上で電気通信回線設備の設置区域が市町村や特別区を超える場合には、登録を受ける必要があると規定されています。この範囲に留まる場合は、電気通信回線を設置してもこの範囲を超えない場合は、届出でOKということになっています。

アクセスポイントとバックホール

アクセスポイントとはモバイル通信の場合ですと、携帯電話網やにおける基地局や地下設備などの屋内に設置されている無線通信機器のことを示します。アクセスポイントからコアネットワーク(携帯電話網などの通信システム)に繋ぐ部分は「バックホール」と呼びます。LPWAの場合、アクセスポイントのバックホールは有線の場合もあればキャリア(MNO/MVNO)が提供する無線のモバイル網を使う場合もあります。

電気通信事業者の登録障壁

登録になる障壁は、事業で提供する設備に応じて電気通信主任技術者の資格者証を交付された有資格者を選任し、設備の運用・工事・維持について監督させることが義務付けられていることも挙げられます。社内に居ない場合は外部に委託することも認められていますが、設備の種類によっては原則都道府県毎に選任が必要であり、近県であれば兼任も許可されます。当社の場合、担当者が「伝送交換種」と「線路種」の両方の資格を受けていたため主任技術者を提出しました。いかにこの主任技術者を確保するかも、参入する壁の一つだと思います。ちなみに、LPWAのゲートウェイモデルを提供するために登録になるには、電気通信主任技術者の「伝送交換種」が必要です。後は会社自体が届け出事業者から登録事業者に変わるため、担当者の一存で変更できるものではありません。なぜ登録になるのか、運用方法はどうなるか、リスクはあるか等を社内で適切に説明し慎重に進めました。

電気通信事業者の登録のために当社が提出した書類

  1. 電気通信事業登録申請書(様式第1)
  2. 欠格事由に関する誓約書(様式第2)
  3. ネットワーク構成図(様式第3)
  4. 提供する役務に関する書類(様式第4)
  5. 申請者の行う電気通信事業以外の事業の概要
  6. 登記事項証明書の原本
  7. 定款の写し
  8. 役員の名簿及び履歴書
  9. 電気通信事業変更届出書(様式第9/届け出→登録になる場合のみ必要)
  10. 事業用電気通信設備の自己確認届出書(様式第20の2)
  11. 管理規程変更届出(様式第22/既に管理規定がある場合のみ必要、新規では管理規定届出書が必要です)
  12. 電気通信主任技術者選任届出書
  13. 電気通信設備統括管理者選任届(当社は既に届出事業者として選任済みであったため提出なし)

当社は届出→登録になったので、新規で登録になる場合一部不要な書類がありました。

1.電気通信事業登録申請書

記載事項のうち、電気通信設備の概要に当たる端末伝送路設備に関する事項、中継系伝送路設備に関する事項、伝送路設備以外の電気通信設備に関する事項は、通信設備が存在する都道府県市町村や住所等や光ファイバーケーブルなどの種別や周波数(MHz)などを記入しました。当社の場合は、提供しているレンタルサーバ等の電気通信事業は全国を業務区域としているため、LPWAで提供する業務区域とそれ以外のサービスの業務区域(日本全国)を記入します。当社が事業で利用するLPWAゲートウェイは端末系伝送路設備であるため、そのゲートウェイでサービスを提供する場所(政令指定都市は区単位)を記入します。

2.欠格事由に関する誓約書

電気通信事業法第12条第1項第1号から第3号までに該当すれば登録を受けられませんので、該当しない事を誓約しなければなりません。

第十二条 総務大臣は、第十条第一項の申請書を提出した者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は当該申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。
 一 この法律又は有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)若しくは電波法の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなつた日から二年を経過しない者
 二 第十四条第一項の規定により登録の取消しを受け、その取消しの日から二年を経過しない者
 三 法人又は団体であつて、その役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの

3.ネットワーク構成図

届出電気通信事業の際にも必要になります。機器の名称(機種)やIPアドレスまで書き込む必要はなく、構成図はPowerPoint等のポンチ絵(簡易なもの)で問題ありませんでした。

4.提供する役務に関する書類

同じく届出でも必要になる書類です。2023年1月現在では、総務省側で提供するサービスを34種別に大別してくれているので、提供する役務に丸をつけます。

5.申請者の行う電気通信事業以外の事業の概要

電気通信事業以外に事業を行っていれば、その事業の概要を記入します。 当社では不動産の賃貸(データセンターのコロケーション等)や管理も行っていますので、これらについて説明する必要があります。

6.登記事項証明書の原本

本社所在地の法務局から会社の登記事項証明書を取得する必要があります。当社では証明書は総務が取得しました。

7.定款の写し

どの会社にもある定款です。当社では法務で写しを作成しました。

8.役員の名簿及び履歴書

会社役員の氏名・職名・生年月日・略歴を記載した書類です。当社では法務で作成をしました。

9.電気通信事業変更届出書

新規では不要ですが、届出から登録に変更する場合に必要になります。当社では、もともと届出電気通信事業者であったものを登録電気通信事業者として変更したため、この書類が必要でした。

10.事業用電気通信設備の自己確認届出書

自己確認の対象となるのは電気通信事業施行規則第27条の5第1項第6号に定められている内容です。

六 法第四十一条第一項に規定する電気通信設備のうち前各号に掲げる事業用電気通信設備以外の電気通信回線設備 次に掲げる書類
 イ 第一号に掲げる書類(同号ロ、ト、リ、ル、ソ、ラ、ム及びヰに掲げるものを除く。)
 ロ 電気通信設備を設置している通信機械室における自動火災報知設備及び消火設備の設置状況に関する説明書
 ハ その他イ及びロに掲げる書類を補足するために必要な資料

さらにイの内容を見ると

第27条の5第1項第6号イの内容

第一号に掲げる書類(同号ロ、ト、リ、ル、ソ、ラ、ム及びヰに掲げるものを除く。)
第二十七条の五、法第四十二条第三項(同条第四項及び第五項において準用する場合を含む。)の規定による届出をしようとする者は、様式第二十の二の提出書に、次の各号に掲げる事業用電気通信設備についてそれぞれ当該各号に規定する書類を添えて提出しなければならない。

一 二線式アナログ電気用設備又は総合デジタル通信用設備(法第四十一条第一項に規定する電気通信設備に限る。)次に掲げる書類
 イ 交換設備、伝送路設備及びこれらの附属設備の設備構成図並びにこれらの接続構成図
 ハ 交換設備、伝送路設備及びこれらの附属設備における故障等の検出方式及び通知方式に関する説明書
 二 電気通信設備における誘導対策措置に関する説明書
 ホ 交換設備における異常ふくそう検出方式及びその対策方式に関する説明書
 へ 交換設備、伝送路設備及びこれらの附属設備における耐震措置に関する説明書
 チ 線路設備における誘導対策措置に関する説明書
 ヌ 屋外設備の措置に関する説明書
 ヲ 通信内容の秘匿措置に関する説明書
 ワ 電気通信設備に蓄積する利用者の通信に係る情報の保護措置に関する説明書
 カ 電気通信設備と利用者又は他の電気通信事業者との間における保安措置の設置に関する説明書
 ヨ 電気通信設備と利用者又は他の電気通信事業者との間における分界点の場所に関する説明書
 タ ヨの分界点における電気通信設備の正常性確認方式に関する説明書
 レ 音声伝送用設備における端末設備又は自衛電気通信設備(以下「端末設備等」という。)の接続条件に関する書類及び試験結果
 ツ 接続品質に関する設計値及びその根拠に関する説明書
 ネ 緊急通報を扱う事業用電気通信設備に関する説明書
 ナ 災害時有線通信を優先的に取り扱う事業用電気通信設備に関する説明書
 ウ 電気通信設備の工事、維持及び運用を行う事業場に配備している主要応急復旧機材の一覧

※ 上記は2017年時の内容で、現在は改正されています。

これだけあります。これらについて、以下の2点について確認しました。

  • LPWA基地局(端末系伝送路設備)
  • データセンター及びサーバー(交換設備、伝送路設備及びこれらの付随設備)

当社が確認すべき法律の根拠(施行規則)と確認すべき対象設備やその詳細な中身(利用するLTEやLoRaモジュールは技術基準に適合しているか等)について列挙し、それぞれ自己確認の項目に当てはめ、構成図・停電対策・防護措置などについて丁寧に回答書を作成しました。作成した資料については直接総務本省の電気通信事業部・電気通信技術システム課へ持参し、自己確認について誤りや抜けが無いか確認を頂きます。問題ないとOKを貰えれば、ようやくこの自己確認届出書に上記2点確認した旨が記載出来ます。(当社は念のために本省へ持参した回答書を別添とし、根拠資料として提出しました)

11.管理規程変更届出

一定規模以上(30万ドメイン)のDNSサービスを提供しているとドメイン名電気通信サービスという電気通信役務の対象になります。本役務は電気通信設備統括管理者(後述)と呼ばれる管理者の選任や設備の管理規定を整えて書類を提出する必要があり、当社は届出電気通信事業者として既に書類を提出済みでした。管理規定とは電気通信の設備をどう適切に管理・運用するかを事業者が定めて総務省に提出する仕組みになっています。詳しくは電気通信事業参入マニュアル[追補版(総務省)]に管理規定記載マニュアルがあります。LPWAサービスを追加するにあたり、これを参考にしながら管理規定を更新しました。

12.電気通信主任技術者選任届出書

登録事業者の必須事項である有資格者の選任届出書です。当社の担当者が取得していたので、資格者番号と種別を記入します。主任技術者は電気通信設備の運用・維持に関する現場レベルの監督者として業務を行います。電気通信事故が発生した際にも、故障箇所の特定や報告書の作成、再発防止策の策定やその策の認定を業務として行うことが法律で規定されています。

13.電気通信設備統括管理者選任届

電気通信設備統括管理者は、経営レベルでの責任者(安全管理責任者)です。管理者として選任されるためには、事業運営上の重要な決定に参画する管理的地位に就いていなければならず、加えて電気通信設備の維持・運用・工事の監督経験が3年以上必要です。主任技術者の資格を持っていなくても実務経験と役職さえあれば選任できます。当社は既に技術本部の本部長を選任済みであったため、新たに書類の提出はしませんでした。

電気通信事業者の登録完了

以上の書類を全て揃えた上で登録事業者として電気通信の健全な発展の観点からの適切性、経理的基礎、体制の整備等が審査されるとされています。結果としては欠格事由も無く、無事に審査完了し晴れて登録事業者となりました。新規登録や登録内容の変更にあたっては登録免許税制度に則り都度15万円の納付が必要です。登録の番号は近第19号です。当社の場合は、総務省への最初の相談から登録まで約2ヶ月でした。

登録申請における届出電気通信事業者と登録電気通信事業者の主な違い

電気通信事業者の登録申請における届出電気通信事業者と登録電気通信事業者の主な違いをまとめます。

項目 登録電気通信事業者 届出電気通信事業者
審査 審査あり 審査なし
電気通信主任技術者の資格保有者の選任 必要 不要
重大な事故の報告 報告が必要
(故障箇所特定や再発防止策を含む報告書作成の義務が課せられる)
報告は不要

最後に

専門用語が多く、初見では読み辛い記事になってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。登録を受けた事を活かし、現在は北海道の石狩市と福井県の鯖江市で、LPWAを活用した河川水位計測を自治体と協力して運用しています。また、横須賀でもYRP/NICT/京セラコミュニケーションシステムズ様と協力し、様々なアンライセンスLPWAが同時に試せるハイブリッドのテストベッドを運用しています。さくらインターネットはLPWAを活用し、更なるサービス価値の向上を目指します。

2023年1月公開